2004年度 金 融 論


 連 絡 帳



                                 テーマ

                            日本の金融市場と金融政策

                                講義概要

金融論は、歴史的に形成された信用秩序の中で、金融市場で決まる利子率や貨幣供給量が、物価水準や為替レート、生産量や雇用量にどのように作用するのか、単純なマクロ経済モデルを用いて分析します。また、各経済主体が、金融市場で、金融商品を取引するとき、どのように金融商品の利子率や価格が決定されるかを説明します。
 はじめに、明治以来の金融史のトピックス、金本位制の確立と離脱、間接金融の確立にふれ、歴史的な日本の信用秩序の形成と改革について考えます。次に、国民経済計算の制度部門別勘定において、金融機構を拡大した勘定を作成し、各部門の金融取引を明示します。この枠組みによって、家計と企業、金融機関と日本銀行が、資金の需要と供給をどのように決定するのか、ミクロ経済学の手法を用いて説明します。
 次に、各経済主体が参加する金融市場において、利子率または収益率はどのように決定されるか、学説史に従って示します。最近では、金融先物市場が、金融商品のもつ金利変動リスク、信用リスクをヘッジするために活用されています。金融先物はどのように取引されるのか、それらの価格はどのように理論的に決定されるのか説明します。
 金融市場と財・サービス市場を統合して、マクロ貨幣経済モデルを構成すれば、そのモデル内の変数は同時決定されます。この統合モデルによって、日本銀行が金融政策を実施すれば、政策変数が経済システムにどのように作用して、政策目標が達成されるかを論じることができます。最後に、日本銀行の金融政策がどう変遷してきたかをふまえて、不良債権の最終処理の段階に入っている日本経済において、日本銀行は金融政策をどう運営し、金融庁は金融構造改革をどう進めるべきかを考えます。

                               講義の進行

         4.1 日本の金融機関とその業務        12/10 
         4.2 金融機関への諸規制             
         4.3銀行行動の理論                12/21                          5.1 日本銀行の組織と機能            12/21 
         5.2 金融政策の枠組み               1/11
         5.3 金融政策の運営                1/14 


                               評価方法

必ずしも、すべての内容は講義できません。レポートは出しません。学期末試験は、公表問題の中から20題ぐらい出題し、さらに未公表論述問題の形式で講義した内容から出題する問題とします。


                               テキスト

            西村和志  『金融論』晃洋書房、2005年1月発行

            西村和志  『金融論講義』明文舎印刷、2000年
            


                               参考書

                          講義の中で指示します。


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