2011年度 金融論

                          更新日 2012年1月23日

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                     テーマ 日本の金融市場と金融政策

授業計画                                     講義の進行
序                                            9/23
1.国民経済循環における金融                           
 1.1 経済循環                                    9/27 
 1.2 経済主体の金融活動と勘定化                       9/30 10/4
 1.3 金融市場と価格                               10/7
 1.4 金融資産の評価                              10/11 10/14
 金融数学1                                     10/18
2.家計の金融行動
 2.1 家計の消費・貯蓄計画の立て方                    
 2.1.2 年金制度と年金改革                          10/21
 2.2 消費・貯蓄理論                              
 2.3 資産選択理論                              10/25
 金融数学2                                    11/4 11/8
3.企業の金融行動
 3.1 企業の生産/投資計画                        11/11 
 3.2 短期資金需要                               11/15
 3.3 長期資金需要 2つの投資決定論                  
 3.4 M=M理論                                11/22 11/29
 明治以来の金融機関史                             12/2
4.金融機関の行動
 4.1 金融機関の業務                             12/2
 4.2 規制                                     12/6
 4.3 信用創造                                  12/9    
 4.4 銀行行動の理論                             12/13 12/16
 4.5 中小企業と地域金融                           12/20
5.中央銀行と金融政策
 5.1 日本銀行の組織と機能                          1/10
 5. 2  日本銀行の業務                              
 5. 3  金融政策の運営                             1/13 1/17
6.金融市場と金利の決定
 6.1 金融市場の構成                              
 6.2 古典派貨幣市場                              1/20
 6.3 ケインズ貨幣市場                            
 6.4 マネタリストの利子理論                         
7.金融派生商品市場
 7.1 債券市場と期間構造論                           
 7.2 派生商品市場 と仕法・戦略                        
 7.3 オプションの価格理論                            
8.マクロ貨幣経済モデルの運行 
 8.1 古典派貨幣経済モデル                           
 8.2 ケインジアンモデル                             
 8.3 変動為替制度下の開放マクロ貨幣経済モデル            
9.日本の金融政策実績評価                            


講義概要

 金融論は、歴史的に形成された信用秩序の中で、金融市場で決まる利子率や貨幣供給量が、物価水準や為替レート、生産量や雇用量にどのように作用するのか、単純なマクロ経済モデルを用いて分析します。また、各経済主体が、金融市場で、金融商品を取引するとき、どのように金融商品の利子率や価格が決定されるかを説明します。
 まず、国民経済計算の制度部門別勘定において、金融機構を拡大した勘定を作成し、各部門の金融取引を明示します。金融商品も特性と評価を簡単な数式で示します。金融取引を重視した勘定の枠組みによって、家計と企業、金融機関と日本銀行が、資金の需要と供給をどのように決定するのか、ミクロ経済学の手法を用いて説明します。
 次に、各経済主体が参加する金融市場において、利子率または収益率はどのように決定されるか、学説史に従って示します。最近では、金融先物市場が、金融商品のもつ金利変動リスク、信用リスクをヘッジするために活用されています。金融先物はどのように取引されるのか、それらの価格はどのように理論的に決定されるのか説明します。
 金融市場と財・サービス市場を統合して、マクロ貨幣経済モデルを構成すれば、そのモデル内の変数は同時決定されます。この統合モデルによって、日本銀行が金融政策を実施すれば、政策変数が経済システムにどのように作用して、政策目標が達成されるかを論じることができます。最後に、日本銀行の金融政策がどう変遷してきたかをふまえて、不良債権の最終処理の段階に入っている日本経済において、日本銀行は金融政策をどう運営し、金融庁は金融構造改革をどう進めるべきかを考えます。
 コラム的に、明治以来の金融史のトピックス、金本位制の確立と離脱、間接金融の確立にふれ、歴史的な日本の信用秩序の形成と改革を紹介します。
評価方法
 2010年度の公開問題および論述問題の過去問を『講義ノート』に載せています。9月末にナカニシヤ書店で発売します。小テストを3回します。2011年度の公開問題は、1月、ナカニシヤ書店で公表します。レポートはありません。

テキスト
西村和志『金融論 2011年秋学期 講義ノート』追手門学院大学経済学部テキストシリーズ(2011年9月発行)
西村和志『金融論』晃洋書房(2005年).

参考書・その他
適宜指示します。講義資料を多く配布します。講義はパワーポイントで行います。講義日に限り、内容のプリントを配布します。